スキップフロアとは
同じ空間内で、階段を用いて床の高さをずらした室内の建築様式です。
ロフトとも似たところがありますが、最上階の屋根裏にだけつくれる形態ではなく、何階にでもつくれます。
階段をスケルトンにすることで、部屋を広く見せることができ、また、風通しや日当たりを良くすることも可能です。
縦の空間を十分利用できるため、収納スペースの拡張にもつながります。
収納スペースを拡張するためには、壁につくりつけのクローゼットを設けたり、天井近くに棚を取り付けたりする方法も用いられますが、それだと圧迫感が増します。
1メートル以上の棚やタンスは、部屋を狭く感じさせます。
そのため、収納スペースは減っても、棚は1メートル以内に抑えることが、空間演出上は望ましいのです。
しかし、スケルトンの階段を用いて、床面を半階ずつ互い違いにすることによって、吹き抜けなどを設けなくても、上方向への広がりを感じさせることができます。
平坦なひとつの床面とするより変化に富んだ空間が生まれ、圧迫感をさほど感じさせることなく、上方の空間をデッドスペースとせず利用することができます。
階段が邪魔に感じられることもあるかもしれませんが、狭小住宅の場合などは、部屋を広く見せる効果があり、建物内の空間を効率よく使える方法と言えるでしょう。
スキップフロアにすると、廊下を設けなくて済むというメリットがあります。
狭小住宅の場合は、階数を多くし、上方向に部屋をつくっていくわけですが、3階程度がせいぜいであり、作れる部屋数は限られます。
ワンフロアに2部屋設ける場合は、廊下が必要になります。
しかし、スキップフロアにすると、6階程度まで設けることができ、敷地面積の狭さをカバーできます。
階段で移動するため、廊下も必要なくなります。
また、半階程度の段差だと、心地よい距離感が保たれやすく、家族が円満に暮らしやすいつくりとも言えます。
一般的な三階建て住宅だと、各階の間でコミュニケーションをとるのには労力がいりますが、スキップフロアなら、つかず離れずといった絶妙の距離の取り方ができます。
ただ、デメリットもあります。
高齢者には不向きのつくりです。
高齢者には、階段のない暮らしが望ましく、多くの階段によって部屋を分けるこのつくりだと、高齢者になってから住むのは難しそうです。
それまでなら、足腰が鍛えられるため、かえってメリットが得られるつくりと言えるわけですが。
かなりモダンなつくりであるため、もともと若い世代向けのプランです。